研究課題/領域番号 |
19659197
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉浦 清了 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10272551)
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研究分担者 |
久田 俊明 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40126149)
渡邊 浩志 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 講師 (10282500)
山下 尋史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323572)
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キーワード | 心筋細胞 / 機械刺激 / 微小操作 |
研究概要 |
ラット心筋細胞から単離した筋原線維について原子間力顕微鏡(AFM)を用いて形態観察と押し込み試験を行った。この結果Z帯に一致した周期で固さのピークが認められ、このピークは溶液のカルシウム濃度を上昇させることによって顕著となった。また細胞自体についても同様の実験を行ったところz-grooveと呼ばれるサルコメア周期と一致した構造を認めこの部分での固さのピークを検出した。この部分は筋原線維のz帯とT管およびその裏打ち構造をなす細胞骨格によって連絡しているためこれらの構造を介して筋原線維が発生した力が細胞膜に伝達していると考えた。この仮説を検証するためformamideを用いたosmotic shockによってT管と細胞表面の細胞膜との連絡を破壊した後に測定を行った。細胞膜表面の観察ではZ-grooveが消失しており固さのピークも消失した。Osmotic shockが細胞骨格に変化をもたらす可能性を検証するため主要な細胞骨格を免疫染色によって観察した。細胞膜の裏打ち構造であるスペクトリンはT管部分で変化が見られたが筋原線維を横に結合するデスミン、Z帯を構成するαアクチニンについては明らかな変化を認めなかった。これらの結化はT管構造が筋原線維と細胞表面の細胞膜、おそらくは接着分子、との機械的結合に重要な役割を果たしていることを示唆しているが、現時点で細胞膜のみからなる構造が面内引っ張り以外の剛性を御持つとは考えておらず今後T管を支持する細胞骨格要素を検索する予定である。今回の結果は従来興奮収縮連関との関連においてのみ捉えられてきた細胞内のT管構造に他の重要な機能があることを示唆する重要な知見と考えられる。
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