研究概要 |
本研究の目的は、最新の心不全治療法である心臓再同期療法(CRT: Cardiac Resynchrozation Therapy)の普及に伴い顕在化してきた医療経済上の問題を克服する為、それに替わる細胞移植によるCRTの実用化をめざすことである。再生医学の進歩は循環器学の領域でもめざましく、骨格筋芽細胞および骨髄単核球細胞移植による重症虚血性心筋症患者に対する細胞移植、心筋再生による臨床治療が既に国内でもスタートしている。本研究では、この実用段階にある細胞移植療法を応用し、機械によるCRTに替わり、医療経済、QOL改善の点から優れた次世代CRTの開発を目的としている。 本年度は、心不全家兎モデルに対するCRTペーシングによるリモデリング改善の検証を行った。家兎に全身麻酔下で右側開胸を行い,少量のホルムアルデヒドを房室接合部に注入して完全房室ブロックを作成した。単極電極を右室自由壁に置き,メドトロニック社製ペースメーカーに接続し背部ポケットに植え込む.術後回復期5日間右室ペーシング(生理的心拍数に近いレート:180-200/分)を行った。その後毎分350-370回の高頻度ペーシングを行い3-4週間継続した。CRT用ペースメーカーを家兎の左全胸部に装着し、右室先端部と左室自由壁よりペーシングを開始した。2週間後心不全状態が改善する予定であったが、明らかな心不全症状の改善がなくCRTの作動モードを更に検討する必要がでてきた。同時に移植用の細胞塊としてヒト骨格筋芽細胞のセルラインを入手し、現在その電気生理学的性質を検討している。
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