研究課題/領域番号 |
19659211
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 好規 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20270986)
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研究分担者 |
橋本 直純 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30378020)
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キーワード | 上皮間葉系細胞転換 / Notch受容体 / 癌の転移 / ルイス肺癌 / 血管内皮細胞 / アポトーシス |
研究概要 |
上皮細胞が間葉系細胞に変化する現象は、上皮間葉系細胞転換(EMT)として、またその逆の現象は間葉-上皮系細胞転換(MET)として知られており、この現象に関わる分子メカニズムについて精力的に研究が進められ、複数の分子が重要な役割を果たすことが報告されている。しかし、固形癌の進展・転移の成立におけるEMT/METの役割と分子メカニズムについてはまだ不明である。本研究では、EMT/METに関わる分子のなかでもTGF-βとともに重要な役割を果たすと考えられているNotch受容体とそのシグナル経路に焦点を絞り、その役割を明らかにする過程を通して、固形癌の進展・転移の成立におけるEMT/METの役割、さらには、Notch分子の発現や制御による固形癌制御の可能性を検討する。Notchは細胞膜貫通型受容体でリガンドと結合すると細胞内ドメインが切断され、核内に移行して標的遺伝子の転写を活性化することでシグナル伝達を行う。我々はNotch経路の役割を検討するためにNotch1細胞内ドメイン(NCD1)を挿入したpEGFPc-1ベクターをマウスルイス肺癌細胞株(3LLSA)とマウス血管内皮細胞株(MS1)に形質導入しNotch1経路の強制発現を行った。その結果、MS1では安定NICD1導入株の作成は可能だったが3LLSAでは得られなかった。次に形質導入による評価では、3LLSA、MS1ともにGFP導入株は細胞質全体に蛍光を、GFP-NICD1導入株は核内に蛍光を認めNotch1経路の活性化が示唆された。形質導入後にアポトーシスの評価を行ったところ3LLSAではGFP導入株に比しGFP-NICD1導入株で有意なアネキシンV陽性率増加を認めたがMS1では差を認めなかった。以上の結果より、Notch1経路は肺癌においてアポトーシス誘導による抗腫瘍作用を示すことが示唆された。
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