びまん性汎細気管支炎は、両肺にびまん性に存在する呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とし、呼吸機能障害をきたす疾患である。びまん性汎細気管支炎の発症要因はまだ明らかになっておらず、内的要因としてHLA classI遺伝子領域の疾患感受性遺伝子の探索が行われている一方、環境要因に関する研究は進んでいない。本研究の目的は、PCR法をベースにした新しいウイルス探索法を用いて、びまん性汎細気管支炎に関連するウイルス遺伝子のクローニングをめざすものである。本研究は国立国際医療センター倫理委員会において、課題名「びまん性汎細気管支炎に関連する新しいウイルスの探索」として本研究内容に関する審査と承認をうけた上で遂行された。天理ようづ相談所病院呼吸器内科受診のびまん性汎細気管支炎患者から、上記倫理審査の内容に基づき、文章による説明と同意取得を行った上で、血清の提供を受けた。提供を受けた患者血清についてAllanderらの報告した新しい方法でウイルス遺伝子検出を試みた。得られた遺伝子配列はDDBJにおいてBLASTとFASTAにて既知の遺伝子配列との比較を行った。その結果、びまん性汎細気管支炎患者血清から、データベース上の既知の配列とは相同性の低い、未知の遺伝子配列が複数個得られた。得られた配列について、プライマーを合成してPCRあるいはRT/PCRでもとの血清中の配列を検出したところ、いくつかは実験に用いた試薬に含まれていた核酸由来のものがクローニングされていたことが判明した。ひとつの配列は繰り返し配列のためPCRによる検討ができなかった。またDPB患者で感染が多い緑膿菌と相同性の高い遺伝子断片も複数個得られていた。
|