研究概要 |
平成20年度はこれまでに我々が培養細胞を用いた実験によって得られた「古細菌のプロテアソームが共に発現させた変異SOD1等の細胞毒性をもつ蛋白質を変異体選択的に分解し、その細胞毒性を軽減する」効果を個体レベルにて確認することが目的であり、古細菌のプロテアソームを発現するトランスジェニックマウスと変異SOD1を発現するトランスジェニックマウスのダブルトランスジェニックマウスを作成し、運動機能、生命予後について検討した。まず古細菌のプロテアソームを安定的に発現するラインを2ライン確立させた。変異SOD1 (G93A)を安定的に発現するライン(既存)との交配により安定的に両蛋白質を発現するダブルトランスジェニックマウスのライン(G93A/psm)を3ライン作成した。以後それぞれのラインのマウスの運動機能をロータロッド、ハンギングワイヤーで比較、また体重の推移、死までの日数を比較した。ロータロッドでは16rpm3分間にてG93A/-, G93A/psm, -/psmそれぞれn=22, 20, 18で落下までの日数に有意差は得られず(105日±14日(G93A/-)、110日±12日(G93A/psm))、ハンギングワイヤーも同様有意差は得られず、また、生存曲線にも有意差は得られなかった(128日±5日(G93A/-)、130日±8日(G93A/psm))。今後は古細菌のプロテアソームを用いるアプローチについて根本的な再考が必要であると考えられた。
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