研究概要 |
私たちが高脂肪食によって視床下部で発現が上昇する遣伝子として見出した分子がHYPU1(hypothalamus up-regulated-1)である。HYPU1はシグナルペプチドを持ち、培養液中に分泌される。興味深いことにHYPU1は、アディポネクチンと比較的高いホモロジーを持つCTRFファミリーの一員であった。 当該年度においては、これまでにバキュロウイルスの系を用いて、遺伝子組み換え産物の作製に成功している。アディポネクチンをはじめとするファミリーメンバーは非常に非特異的吸着が強く、精製の手法は困難を極めた。HYPU1はグリコシレーションを受けることが判明しているため、バキュロウイルスの系で作製した遺伝子組み換え産物は活性を持つことが明らかになった。現在、トランスレーショナルリサーチとしての臨床応用を視野にいれて、ほ乳類細胞を用いた発現系を開発中ですでにスモールスケールでは成功している。さらにラージスケールでの調整についての工夫を行っている。ほ乳類細胞から作製したrhHYPU1が同等の活性を発揮するのか、またアディポネクチンと比較してどのくらいの活性を持つのかを、培養細胞を用いたin vitroの系と合わせて、in vivoにおける投与後の糖、脂質代謝に対する效果について解析を進めており、これまで糖代謝改善作用、AMPキナーゼ活性化作用を示唆する結果を得た。またHYPU1の生理作用を明らかにするためにノックアウトマウスの作製を行い、これまでにキメラを得ることに成功した。今後さらにin vitro,in vivoの解析を進める予定である。
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