まず、臍帯血移植に伴うGVHD発症時と冶癒時のペアサンプルのヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、単球、NK細胞の各分画について、カスタムメイドの繊維型DNAチップを用いて遺伝子mRNAの発現プロファイルを解析した。その結果、ヘルパーT細胞の分画(CD4+)において、GVHDの重症度と関連する可能性のある候補遺伝子群を見出した。重症度と関連する遺伝子及びmiRNAを同定することは、重症GVHDの発症予知及び早期治療への応用につながり臨床的意義は極めて大きいと考えられる。しかしながら、当初の計画ではGVHDを発症した患者のみを対象とするため、これらの遺伝子・miRNAとGVHDの重症度との関連を検討することができない。そこで、GVHDを発症した患者に加えて、新たに、GVHD未発症患者についても末梢血サンプルを集め検討することにした。その結果、解析対象となるサンプル数は当初計画の2倍となった。 さらに、このヘルパーT細胞の分画は、末梢単核球中に含まれる数が少なく(5-15%)、miRNAアレイによる網羅解析に必要な量のRNAを得ることができないことが判明した。そこで、miRNAの発現解析は、miRNAアレイの代わりに、あらかじめ絞り込んだ候補miRNAについてTaqMan RT-PCR法により行うことにした。解析対象数の倍増、解析方法の変更(miRNAアレイ→TaqMan RT-PCR)、及びそれに伴う候補miRNAの絞り込み作業が加わったことなどの事情により、平成19年度中に研究を取りまとめることが不可能となったため、繰越を申請した。
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