当初の計画では、臍帯血移植に伴うGVHD発症時と治癒時のペアサンプルについて、(1)miRNAの発現プロファイルの解析により、GVHDに伴い発現が変化するmiRNAを同定し、(2)標的遺伝子予測プログラムにより標的転写調節因子候補を絞り込み、(3)同時に行うmRNAの発現プロファイルからモデル計算により得られる転写調節因子の発現・作用プロファイルとの照合により、GVHDの病態形成への関与が大きい転写調節因子およびmiRNA候補を抽出するはずであった。 ところが、H20年度となり、サンプルがなかなか集まらなくなった。集まった少数例のサンプルについて、miRNAの発現プロファイルから得られた標的転写調節因子候補群と、mRNAの発現プロファイルから得られた転写調節因子作用プロファイルとの照合を行ったが、やはり統計的に評価しうる結果が得られなかった。そこで、miRNAとmRNAの対数発現強度比データを直接合わせてクラスター分析を行ってみたが、統計的に有意な結果が得られなかった。そのため、in vitroでの実験に変更し、臍帯血と正常人末梢血中の単核球各分画について炎症刺激に伴うmiRNAおよびmRNAの発現プロファイルを比較検討することにした。所内倫理委員会による承認後、サンプルの収集を開始し、平成21年3月末現在、臍帯血については16検体、正常人末梢血については11検体得られ、処理を進めている。これまでにmiRNAのreal time PCRを一部、施工しているが、処理数が非常に多いため、いまだ完了していない。最終的に統計解析を終了した段階で論文投稿する予定である。
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