研究概要 |
1) Methylated CpG island amplification/representative difference assay (MCA/RDA)法を用いて正常Bリンパ球と比較して慢性リンパ性白血病細胞(CLL)細胞、悪性リンパ腫細胞(diffuse large cell lymphoma)において高・低メチル化しているDNA断片を網羅的に単離したところ、低メチル化DNAが多く同定された。低メチル化が集積した領域(1p36, 7p22.3, 9q34, 17q21, 19p13.3, 22q13.3)はBリンパ球で転写が亢進している部分と一致していた。この結果から転写がメチル化に影響を与えていることが示唆された。 2) 低メチル化が集積している領域にコードされる遺伝子群を検索したところTNF受容体ファミリークラスターが存在しており、CLL細胞株で、それらの遺伝子発現が増強されていることをRT-PCRで確認した。その中でBリンパ球の増殖に関連していることが予想される遺伝子に関してノックダウンの実験を行ったが、増殖に関して変化は認められなかった。 3) Bリンパ球系の腫瘍細胞(CLL, DLCL)で同様の低メチル化パターンが認められたことから細胞特異的な転写様式がメチル化に影響を与えていることが示唆された。このような領域特異的な転写調節機構に関してインスレーターのようなゲノムコンポーネントの存在が考えられる。
|