T細胞はT細胞レセプター(TCR)を介して、抗原由来ペプチドとHLAとの複合体を特異的に認識する。従ってTCR遺伝子をT細胞に遺伝子導入することによって抗原特異性が獲得できることが期待される。他方、ヒトを対象とした免疫学的研究、特にワクチン開発は、HLA拘束性という種特異性が存在するため、動物モデルを用いた解析が困難であった。しかし最近、新たな免疫不全マウスの開発によって、マウス体内でヒト細胞・組織を構築しうることが可能となり、難治性疾患の治療開発モデルとして大きな期待が寄せられている。この"ヒト化"マウスはヒトワクチン開発にもきわめて有用な実験系を提供ずることが期待されており、本研究では、この動物モデルを用いて、新たな発想に基づく革新的免疫遺伝子治療の開発を計画し、本年度は下記の研究成果が得られた。 1)われわれがすでに報告した方法によってHSV-1、EBVおよびWT1特異的CTLクローンを樹立した。 2)これらのT細胞クローンから、RT-PCR法によって完全長TCR-αおよびTCR-β鎖cDNAを単離した。TCR遺伝子をレンチウイルス発現ベクターCSII-EF-MCS-IRES-hrGFPに組み込み、TCR発現ベクターを作製した。 3)末梢血CD4およびCD8陽性T細胞を分離し、WT1特異的CD8陽性CTLクローン由来TCR遺伝子を遺伝子導入した。TCR遺伝子導入細胞の特異性とHLA拘束性を調べたところ、CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞はともに、HLAクラスI拘束性にWT1特異性を獲得できることが明らかとなった。 現在、これらTCR遺伝子導入T細胞を、新たな免疫不全マウスであるNOD/SCID/IL2 receptor γ chain^<null>マウスに移植し、ヒト免疫系を再構築した"ヒト化"マウスの作成を計画している。 2)これらのT細胞クローンから、RT-PCR法によって完全長TCR-αおよびTCR-β鎖cDNAを単離した、TCR遺伝子をレンチウイルス発現ベクターCSII-EF-MCS-IRES-hrGFPに組み込み、TCR発現ベクターを作製した。 3)末梢血CD4およびCD8陽性T細胞を分離し、WT1特異的CD8陽性CTLクローン由来TCR遺伝子を遺伝子導入した。TCR遺伝子導入細胞の特異性とHLA拘束性を調べたところ、CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞はともに、HLAクラスI拘束性にWT1特異性を獲得できることが明らかとなった。 現在、これらTCR遺伝子導入T細胞を、新たな免疫不全マウスであるNOD/SCID/IL2 receptor γ chain^<null>マウスに移植し、ヒト免疫系を再構築した"ヒト化"マウスの作成を計画している。
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