研究概要 |
本研究の目的は、ゲノムを共有する一卵性双子間でも存在するエピゲノムの差異が存在する最近の知見を背景とする、レット症候群の一卵性双子例を対象にした精神発達障害の新規関連遺伝子を探索することである。具体的には、双子間のエピゲノム(DNAメチル化パターン)差異領域を特定し、その中から本症候群の責任蛋白質(MeCP2)によって調節されるメチル化遺伝子を見いだし、最終的に双子間での発現差異を明らかにする。平成20年度は、この目的を達成させるために、ゲノムマイクロアレイ装置で解析する試料の調整法の確立,ならびに調整された試料を用いた解析を行った。具体的にはメチル化DNAを選択的に吸着し濃縮させる,チル化DNA結合タンパク質(MBD2b)のカラムを用いて濃縮し、濃縮されたDNAサンプルにおいて、前年度に明らかにした材料であるヒトリンパ球における高メチル化領域がみられ、低メチル化領域がみられないことを、定量リアルタイムPCRにより確認した。 その結果、Bisulfite sequencing法で高メチル化が認められたCDX1, PNLDC, HISTIH2BA遺伝子領域は濃縮され、同法で低メチル化が認められたPTTGIP, STCH遺伝子領域やCpGを含まないAGEH遺伝子領域は濃縮されていなかった。以上より、MBD2bのカラムはメチル化領域を選択的に濃縮していると考え、これを用いてアレイ解析を行った。その結果、高メチル化が予想される領域はメチル化が高く描出された。この基礎的研究成果をふまえ、双子間比較を行い、症状の差異に関連する遺伝子を見いだす予定である。
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