研究課題/領域番号 |
19659266
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
石井 榮一 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20176126)
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研究分担者 |
田内 久道 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30314959)
貞包 雄次郎 佐賀大学, 医学部, 医員 (70162401)
在津 正文 佐賀大学, 医学部, 助教 (10346877)
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キーワード | 乳児白血病 / 遺伝子再構成 / マイクロRNA / 細胞の分化・増殖 |
研究概要 |
(目的)MLL融合遺伝子は乳児白血病発症に重要な役割を果たしているがMLL融合遺伝子を介する多段階発癌経路の分子病態に関しては不明な点が多い。そこで我々は、MLL融合遺伝子はmicroRNAの発現異常を起こし、下流の標的遺伝子(Hox遺伝子等)の発現パターンも変化し、最終的に癌の発生を引き起こしているのではないかと考え研究を計画した。(方法)平成19年度はMLL遺伝子再構成陽性preB ALL細胞株から全RNAを抽出し、アレイにより網羅的にmiRNAの発現を調べ増減するmiRNAを検索する。異常が確認されたmiRNA遺伝子のうちMLL融合遺伝子が結合できると予想されるmiRNA遺伝子を検索する。MLL融合遺伝子→miRNA→HoxA9のpathwayを検討・解明する。(結果)MLL遺伝子再構成陽性preB ALL細胞ではlet7群、miR100、miR125b、miR130、miR153、miR181a、で発現が2倍以上低下し、miR125a、146a、miR199で2倍以上増加していた。このうちHoxA9をターゲット可能と予測されるlet7b、miR125bについてreal-time PCRを行ったところ、両遺伝子の発現の有意な抑制が認められた。さらに現在そのターゲット遺伝子であるHOXA9の発現を解析中である。(考察、結論)miRNAはその発現が増幅・抑制されることにより細胞の分化・アポトーシス関連遺伝子を調節する。我々の解析結果は、miRNAのうちlet7、miR125の抑制がHoxA9の発現を増強させ、白血病細胞の増殖、分化に関与する可能性を示唆している。今後はこれらのmiRNAのターゲット遺伝子を同定することにより、乳児ALLの発症機序の解明が進むものと考えられる。
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