研究課題
乳児白血病のMLL融合遺伝子を介する分子病態に関しては不明な点が多いが、NLL遺伝子がmicroRNA(miRNA)の発現を制御していることが報告されている。そこで我々は、NLL融合遺伝子がmiRNAの発現異常を起こし、下流の標的遺伝子の発現パターンも変化し、白血病の発生を引き起こしているのではないかと推測した。研究結果では、MLL再構成陽性乳児ALLでは発現アレイで多くのmiRNA発現が低下していた。さらに発現低下を認めたmiRNAのうち、HoxA9を標的とすると予想されるmiRNAを検討したところ、let-7bの発現の低下が見られ逆にHoxA9の発現は増強していた。以上より、乳児白血病はMLL遺伝子再構成により1^<st>hitとして白血病発症の前段階が完成する。このMLL融合遺伝子により制御されるmiRNA(let-7など)とその標的遺伝子(HoxA9,c-myc,その他)により2^<nd>hitがおこり白血病を発症する。またその悪性化には分化因子(Pax5など)および増殖因子(FLT3など)が関与すると推定される。さらにこの結果を基に乳児ALLの分子標的療法を開発する。特にlet-7b,Pax5,FLT3が候補であり、FLT3に関してはすでに臨床研究が進んでいる。現在let-7bの遺伝子導入による細胞の分化・増殖能の検討を行っている。
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