乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)などの重症てんかんに変異イオンチャネル蓄積病態が関係していることを以下方法であきらかにした。まず、細胞生物学的に変異GABA_A受容体やNa+チャネルの細胞局在、小胞体(ER)輸送障害とERストレス・アポトーシスを検証した。 ラットGABRG2に蛍光蛋白標識し、ヒトSMEIの変異とGEFS+の変異を導入し、培養細胞上に発現させ、α1β 2γ2よりなる5量体のGABA_A受容体を再構成させた。この細胞を用いて変異GABA_A受容体標識蛍光蛋白を指標に、免疫染色とともに蛍光顕微鏡を用いる方法、共焦点レーザー顕微鏡による方法、さらに、GABAA受容体にある糖鎖を利用しパルスチェイスにてその細胞内局在を調査した。これらの実験により変異を導入したGABA_A受容体のオルガネラ局在が小胞体であることが明らかになった。この細胞を用いてERストレスによる小胞体やアポトーシス関連分子の同定を行った。今回はカスパーゼ、DNAフラグメンテーション、アネキシンV、抗PARP等の複数の指標の応用によりアポトーシスの証明を行った。これによりGABAA受容体を発現させた、培養細胞での変異アポトーシスが実証された。さらに分子病態をin vivoで明らかにするため、ヒトてんかんで発見された遺伝子変異と相同変異を持つ動物の作出を試みた。このためヒトと同じ遺伝子異常を持つモデル動物をすでに実績のあるPDGFプロモーターを用いた組換え法により遺伝子組換えラットで作成した。今回はヒト家族性特発性てんかん(常染色体優性夜間前頭葉てんかん)と同じ遺伝子異常をCHRNA4遺伝子に持つ遺伝子組換えラットを作出することに成功した。(特許取得済、J.Neuroscience 2008)
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