研究概要 |
具体的内容:低酸素レポーター移植担癌マウスは、低酸素応答遺伝子のプロモータ領域に存在する低酸素反応領域(hypoxia response element:HRE)の下流に,核医学レポーター遺伝子であるヒトNa+/I-共輸送蛋白(hNIS)遺伝子を連結した遺伝子構造(HRE/hNIS)を作成して培養癌細胞に安定導入し、ヌードマウスに移植することにより作成する。そのためにまず、HREの下流に生物発光ルシフェラーゼ(Luc)遺伝子を連結したベクターpGL4.26[HRE/Luc]を作成し、癌細胞株に一過性導入した上で低酸素負荷を加えて生物発光強度を測定することによって、HREの低酸素反応性をin vitroで確認した。また、hNISについても、99mTcO4-集積試験によってin vitro評価を、培養癌細胞に安定導入してヌードマウスに移植した担癌マウスを99mTc SPECTでin vivoイメージングして評価を行った。一方、低酸素レポータートランスジェニックマウスは、強力なCAGプロモータの下流にhNISを連結したpCAGGS-hNISを作成し、マウスの受精卵にマイクロインジェクションして子を得た。遺伝子型の確認(genotyping)はできたが、in vivoでの99mTcO4-集積試験系では否定的な結果となった。現在、系統確立に向けて、結果を改善させる方法を模索している。意義・重要性:移植担癌マウスは、(1)放射線治療抵抗性と低酸素との関係に関する研究、(2)低酸素によって活性化される様々な分子過程に関する研究、などに発展する。トランスジェニックマウスは、(1)癌誘発によって自然発生に近い癌に関するin vivo研究、(2)虚血性疾患における低酸素状態に関する研究、などに発展する。さらに、^<18>FAZAや^<18>FMISOによる低酸素PETイメージングと比較することによって、これらの妥当性をin vivoで評価することが可能となる。
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