研究概要 |
(1)DNA-PK(DNA依存性プロテインキナーゼ)活性を欠損し、非相同末端結合に障害がある細胞とその親の細胞の計3組6種類の細胞を用い、Colonogenic assayを施行した。M059K・M059J、CHO-K1・Xrs5、V79・XRV15Bの3組6種の腫瘍細胞をdishに撒き、CDHPを1000μM添加した群と添加しない群の2群に分け、24時間後に0,1,2,4Gyの照射を行なった。14日間培養後Colony数をカウントした。上記6種の細胞群にCDHPを0,200,1000,2500,5000μM加えた。24時間後に0あるいは4Gyの放射線照射を照射し、14日後に染色、Colony数をカウントした。CDHPによる増感効果が認められた腫瘍細胞はM059J、Xrs5、XRV15Bの3種類で、いずれもDNA-PK活性欠損細胞であった。ギメラルシルの濃度200から1000μMで放射線増感効果の上昇を認め、1000μMにてプラトーに達した。以上より、ギメラルシルによる放射線増感効果は相同組み替え修復の阻害によることが推察された。 (2)照射24時間後のγH2AXフォーカスの残存は、DNA2重鎖切断修復の指標となる事が報告されている。DNA2重鎖切断修復経路の非相同末端結合修復に障害のあるM059J、Xrs5、XRV15B細胞では、ギメラルシル添加による照射24時間後の残存フォーカス数はギメラルシル非添加群に比べて高かった。親細胞のγH2AXの残存フォーカス数にはギメラルシル添加による影響がみられなかった。これはギメラルシル増感効果をcolonogenic asseyで検討した結果と一致した。Time Courseの検討では、照射後1〜4時間まではフォーカス数に明らかな差がなく、8〜24時間後で差が見られた。 以上より、ギメラルシルの放射線増感効果が非相同末端結合修復障害細胞にのみ見られたことにより、ギメラルシルによる放射線増感効果は、DNA2重鎖切断修復経路のうちの相同組み替え修復の阻害によることが推察された。
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