研究概要 |
1. 消化器癌における癌幹細胞の存在を調べる。研究室が保有する大腸癌細胞株を用いて、それらにSP細胞が含まれるかどうかの解析を進めてきた。その中で、大腸癌細胞株の解析において、DLD-1, HCT-8, SW948などでSP細胞が同定できることを確認してきた。 2. 癌幹細胞及び分化した癌細胞におけるABCトランスポーター遺伝子の発現パターンを解析する。SP細胞群に癌幹細胞が多く含まれる可能性が示され、SP細胞群とnon-SP細胞群における全ABCトランスポーター遺伝子の発現を、TaqManリアルタイム定量RT-PCR法にて調べ、ATP-binding cassette transporter(ABCトランスポーター)ファミリーの中の数種類、特にABCG2が高発現していた。 3. Solute Carrier(SLC)の発現についても解析を行った。 4. トランスポーターが癌幹細胞の薬剤耐性の要因となっているかを検討する。SP細胞群とnon-SP細胞群での発現に差が認められるトランスポーターをピックアップし、そのトランスポーターによって輸送される抗癌剤を用いて細胞増殖抑制試験を行った。 5. SP分画形成に関与するABCトランスポーターを明らかにする。 ABCG2が、Hochst33342を輸送するトランスポーターである可能性が示され、SP細胞群とnon-SP細胞群で発現に差が認められるトランスポーターの可能性が示された。完全長cDNAを発現ベクターに組み込み、トランスフェクタントを作製、それを用いて、Hochst33342の輸送実験へと進めた。
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