研究概要 |
胃瘻からの半固形栄養材短時間注入法」は、できるだけ生理的な状態で胃内へ食塊や栄養材を入れる機能的バイパスであり、胃本来の胃の貯留・排出機能を生かし、正常な消化管ホルモンや神経反射が保つ栄養摂取法である。本法の実用化に向け、基礎的および臨床的な検討を行い以下の成果をえた。 1) 栄養材は粘度が高いほど、胃内貯留率が高いにもかかわらず胃食道逆流は減少した 2) 高い粘度では、十分な胃貯留と5分以内に胃の運動による排出を認めた。また、液体栄養剤では胃貯留とそれに続く蠕動運動による胃排出が発現せず押し出しによる排出を示す 3) 注入圧300mmHgで加圧して注入しても胃内圧の上昇はみられない 4) 栄養材は粘度が大きいほど,粘性摩擦力が大きくなるレオロジー特性があり、非ビンガム塑性流体の物性を示すこと 5) 消化管ホルモンへの影響は、半固形栄養材短時間注入法では正常パターンを示すが液体栄養剤間欠的注入法では, 持続する血糖の上昇やインスリンやガストリンの過剰分泌を起こすこと 以上から、臨床における本法の使用として 1) 胃本来の持つ貯留能や排出能が発揮でき胃食道,胃瘻部逆流が防止できる半固形化栄養材の粘度と量および注入時間は20,000cP程度の粘度で300mlから600mlの量を短時間5-15分であることを明らかにした。 2) 高齢者が簡便にかつ安全に胃瘻から注入できる革新的なデバイスとして300mmHgの加圧バッグによる注入法の安全性、有用性および利便性を確立した。
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