体重約10kgのクラウン系ミニブタから下行大動脈(内径5mm、長さ10cm)を清潔下で摘出し、冷間等方圧印加装置にて超高圧を印加(980MPa、10min)することによって細胞を破壊した後、DNase及びRNaseを含む生理食塩水にて洗浄した。続けて、エラスチンの除去は、凍結乾燥して真空熱架橋後、エラスターゼ溶液内に浸漬することで消化した。この際、エラスターゼ処理時間を変化させることで、残存エラスチン量を調節しその効果を検討した。また、リン脂質の除去は、二酸化炭素を用いた超臨界流体処理によって行った。二酸化炭素に若干量のアルコールをエントレーナとして添加することによって、リン脂質を効果的に抽出することができた。得られた脱細胞化血管にブタ血管内皮細胞および平滑筋細胞を播種し、独自に開発した回転培養装置を、平滑筋細胞は組織内への細胞播種システムを基本とした。回転培養装置では表面のみでの細胞増殖が認められたため、内皮細胞へと応用した。組織はイブヘの細胞播種は、3D細胞インジェクターを利用して可能となったが、その後のリアクター培養による効率よい増殖効率までは至らなかった。 作成した脱細胞化血管を1cm^2程度に分割し、ラット背部皮下に埋め込むことにより、脱細胞血管の最大の問題である石灰化の検討を行った。1〜3ヶ月経過後に摘出して、X線CT、および、元素分析による石灰化量を行った。その結果、脱エラスチン処理、および、冷間等方圧印加処理後の洗浄液からカルシウムイオンあるいはリン酸イオンを除去することで、石灰化を効率よく抑制できる可能性が見いだされ、ブタ移植実験により検証を進めている。
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