研究課題/領域番号 |
19659342
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
島田 光生 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
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研究分担者 |
吉住 朋晴 九州大学, 医学部附属病院, 助教 (80363373)
居村 暁 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90380021)
森根 裕二 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60398021)
池上 徹 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80432938)
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キーワード | 肝保存 / 肝移植 / 冬眠タンパク / 冷凍(却)耐性物質 / 復温障害 |
研究概要 |
背景・目的:移植のための臓器保存装置は、臓器を早く冷却し組織代謝を減少させることに主眼を置き、氷点下でも凍らない保存環境作成の研究が行われてきた。今回着目したのは、野菜や魚・肉といった新鮮食物の内因性の"冬眠物質発現"効果を期待した冷蔵庫の要素技術(ワールドテクノ社;徳島市)である。即ち、移植用臓器(輸血用血液含む)の内因性冷凍耐性蛋白の誘導を利用した新たな臓器保存の着想である。この装置は外部からだけでなく、庫内の材料の表面温度と内部温度を同時に、コンピゴーター制御下、頻回にセンシングし設定時間内にある温度まで下げる技術である。今回、肝臓および血液(細胞)を冷蔵保存し内因性の冷凍耐性物質同定や保存装置の効果について研究し、新たな臓器保存装置の開発を試みる。 方法:Wister系雄性ラット6週齢を用いて肝、血液保存の研究を行った。 検討1.肝保存:全肝を摘出し、UW液を用いて従来型(単純浸漬)および新技術冷蔵保存装置を用いて4℃保存し、門脈からリンゲル液5mlをフラッシュして、リンス液を回収し肝臓グラフトの細胞傷害の程度を評価した。 結果1.保存装置群で、72時間保存後のリンス液中のAST、ALTは単純浸漬群より有意に低値であった(154±19 vs、197±13;P<0.05、67±5 vs.140±55;P<0.05)。組織学的には、単純浸潰群では肝細胞索の乱れや類洞開大を認めたが、保存装置群では組織学的変化は軽度であった。 考察:保存装置は肝組織における細胞傷害を軽減することを確認した。今後、肝エネルギー代謝の評価(リンス液中アンモニア測定、肝組織のArp量測定)を行う。 検討2.血液保存:血液を2種類の保存法(単純浸漬および保存装置群)で保存し以下の項目につき検討する。 検討項目:アンモニア、Arp、pH、乳酸 結果2.アンモニアは保存装置群で有意に低値であった(9週間;917±38vs.1277±80;P<0.05)。ArPは5週以降保存装置群で有意に良好な貯蔵効果を示した(0.149±0.004vs.0.107±0.27;P<0.05)。 今後、保存後の血液像の評価を行う。
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