研究課題/領域番号 |
19659347
|
研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
内田 博之 城西大学, 薬学部, 助教 (20245195)
|
研究分担者 |
大竹 一男 城西大学, 薬学部, 助教 (50337482)
小林 順 城西大学, 薬学部, 教授 (20153611)
|
キーワード | 腸管萎縮 / 絶食 / -酸化窒素 / 栄養 / アポトーシス |
研究概要 |
【研究の目的】廃用性腸管粘膜萎縮は絶食状況下で生じ、その原因の一つとして小腸粘膜上皮細胞のアポトーシスの誘導がある。そのため、食事摂取開始時における腸管機能の復帰障害が臨床上大きな問題となっている。絶食による小腸粘膜上皮のアポトーシスには、誘導型NO合成酵素(iNOS)由来一酸化窒素(NO)の関与が予測された。そこで、我々は絶食時の小腸粘膜上皮細胞のアポトーシスにNO賛成が関与しているという予測に基づき、絶食ラットにおけるNO合成酵素阻害剤による廃用性腸管萎縮の軽減の有無について検討した。 【方法】Wistar雄性9週齢ラットをそれぞれ生理食塩水(saline)投与群とiNOS選択的阻害剤Aminoguanidine(AG)投与群に分け、絶食時間を0時間(Fed)、24時間、48時間、60時間および72時間とした。絶対食後ラットを解剖し、採血と空腸の摘出を行い、病理組織評価、NO_x測定およびiNOS mRNA発現量を測定した。病理組織評価はHE染色により腸絨毛高と腸陰窩深を計測し、TUNEL染色法により粘膜上皮細胞のアポトーシス腸性細胞割合を観察した。また、NO_x測定はグリース法を用いた酸化窒素分析システムを使用して、血漿と空腸組織中のNO_x(NO_2^-、NO_3^-)測定を行った。さらに、iNOS mRNA発現量はRT-PCR法にてβアクチンを標準として測定した。 【結果】Saline投与群に比べてAG投与群は、48時間以降において絶食に伴う腸絨毛高と腸陰窩深の短縮が有意に軽減され、そしてアポトーシス腸性細胞割合の低下も観察された。48時間以降において絶食に伴うNO_2^-とNO_3^-濃度の増加がAG投与群で有意に抑制された。48時間以降において絶食に伴うiNOS mRNAの発現量の増加がAG投与群で有意に抑制された。 【考察】AGの投与により絶食ラットの空腸には、腸絨毛と腸陰窩深の短縮軽減、アポトーシスの抑制、NO_2^-とNO_3^-濃度の増加抑制、iNOS mRNA発現の増加抑制が確認された。これらのことより、絶食による空腸の廃用性腸管粘膜萎縮には、iNOS由来NOの関与が示唆された。
|