研究課題
1)まず、逆浸透膜を通し脱塩したナノバブル水の中に実際になのバブルが存在するかどうかについては、田中肇の研究室において、動的景散乱法を用い、ナノバブルの存在を確認した。2)ナノバブル水の心筋保護効果を検討するために、逆浸透膜を通して脱塩したナノバブル水を用いて調整したKrebs Henseleit bufferを灌流液としたラット摘出灌流心モデルを用いて検討した。22分常温虚血を設定し、40分の再灌流を行い、心機能の回復率を検討した。通常水を使用した灌流液とナノバブル水を用いた灌流液を用いた両群間に大動脈拍出量などの心機能の回復率に有意な差を認めなかった。In vitroの実験でも、逆浸透膜を通したナノバブル水は、脱塩する前のナノバブル水に比べ、その生物活性保護効果が減弱することが報告されており、逆浸透膜を通し脱塩したことが効果が得られなかった原因である可能性も考えられるが、明らかなナノバブル水の心筋保護効果について、少なくとも今回のモデルで見る限り証明し得なかった。3)牡蠣の凍結保存が可能であったことから、ラットの摘出心を脱塩したナノバブル水で調整されたKrebs Henseleit bufferで還流した後-20度で1時間凍結し、自然解凍後、ラット摘出灌流心モデルを用いて再灌流したが、明らかな心拍は確認されなかった。今後、非脱塩のナノバブル水で凍結した心臓を用いた実験で再検討する必要があると考えている。