研究概要 |
心臓弁膜症,特に僧房弁形成術における弁輪形成において,通常手術だけではなく内視鏡下手術あるいはロボット支援下の手術においても容易かつ短時間で施行可能な僧房弁輪形成術の確立を目指すものである材質は形状記憶超弾性合金(Ni-Ti合金)で僧房弁輪組織内に埋め込むタイプの人工弁輪の開発を目的とした. 1. 人工弁輪の形状の検討:豚の心臓を用い,ステンレス製の針金を用い有効な弁輪形成を行うための埋め込み式人工弁輪の形状について検討し,C型とO型の2つのタイプを検討した,C型は固定力が弱く弁輪の形状を保持できないことが理由となりO型を採用した. 2. 縫着方法の検討:プロトタイプを作製し,豚の心臓に対し埋め込み術を施行し,有用性を検討した.実際にロボットを用いブタ心臓への縫着実験を行った.ロボット鉗子(EndoWrist)を用い金属部から糸を介し接続された針を把持,僧房弁輪内組織に埋め込むように縫着し,針の縫着を進めることで金属部分は遅れて僧房弁輪内を進むものであり,ロボット鉗子を用いることで容易に行い得えることがわかった.針-糸-針金の構造を持つプロトタイプを作製の作成が難しく難渋したが,糸部分も針金を用いることで解決した. 3. 埋め込み後の固定方法の検討:人工弁輪装着後の弁輪固定方法について現在検討中である.試行錯誤を繰り返している情況であり,現在はナイチノール性クリップを用いた固定方法と,手術用の糸を用いた固定方法で検討した結果ナイチノール性クリップでの固定が有用であることが分かった. 4. 形状記憶合金を人工弁輪となりうるような大きさに加工し,合金-細径ワイヤー-針となる新しい人工弁輪を作成.ブタ心臓にロボット鉗子を用い上記2のごとく縫着.O型として端々はナイチノール性クリップにて固定した.十分に人工弁輪となりうるものとなった.
|