研究課題/領域番号 |
19659351
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20314312)
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研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
市川 肇 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (60303939)
上野 高義 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60437316)
松江 一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80437318)
倉谷 徹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (90448035)
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キーワード | 人工血管 / Tissue Engineering / 生体分解性素材 / 自己組織化 |
研究概要 |
心臓血管外科領域を中心に血管の代替物として使用されている人工血管は、耐久性の面では半永久的に使用可能で良好な臨床成績を収めている一方、依然解決されない問題(1.血栓形成や内膜肥厚に伴う閉塞,2.感染のリスク,3.成長追随性の欠如)を抱えている。そこでTissue Engineeringの手法を応用し細胞親和性の高い生体分解性素材のみを材料として用いることにより術前の細胞操作を行わずして組織の再構築を促す(in situcellularization)新規素材人工血管の開発を目指した。 生体分解性でかつ生体適合性に優れるPoly-L-Lactic Acid(PLLA)及びPolyGlycolic Acid(PGA)を用い、内腔面にはその疎な構造により組織再構築のための足場環境を提供するようにknit形状のPGAを配し、外側にはPLLAを高密度の織物として仕上げることにより高圧条件下での耐久性向上を図ったデザインの人工血管を作成した。生体内への移植により人工血管の素材が個体内で吸収されていく過程で人工血管はscaffoldとして働き、血管構成組織の再生が誘導されるように人工血管のデザインを検討・評価し最適化した。 基礎的研究にて十分な検討した後、人工血管を動物実験モデル(ブタ)の高圧系である大動脈や低圧系である下大静脈に長期(12ケ月)移植し,高圧環境下での耐久性や低圧系における抗血栓性の評価に加え、生体内での組織再生構築(in situ cellularization)の経時的変化や再生組織の機能を観察・解析を進めた結果、良好な抗血栓性や生体適合性に優れ,かつ完全自己組織化を可能とするのが確認された。 今後更なる検討が必要ではあるが最終的に次世代人工血管の臨床応用の実現が可能と考えている。
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