ミクログリアは脳内のマクロファージ様細胞として知られ、悪性脳腫瘍においても腫瘍内部および浸潤域に、集蔟している事が確認されているが、その抗腫瘍作用は不明であった。腫瘍側の細胞障害性をオートファジーでモニターすることにより、ミクログリアが悪性脳腫瘍に対して抗腫瘍効果を有し、その機序として、ミクログリアが産生するNOが重要であることがわかった。しかし、当年度の解析により、NO単独では、悪性脳腫瘍に対して抗腫瘍効果は得られないことがわかった。さらなるミクログリア由来の相補的分子の探索を行うと、TNF family分子および炎症性サイトカインが重要な役割を果たし、それらも、NO同様に、単独では、悪性脳腫瘍にオートファジーを生じず、抗腫瘍効果を得られないことがわかった。また、NO+TNF family分子、NO+炎症性サイトカインの組合せで、悪性脳腫瘍にオートファジーを生じることがわかっきている。今後、如何なる分子の組合せが、悪性脳腫瘍に効率的にオートファジーを介し、抗腫瘍効果を得られるか解析を行う予定である。
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