研究概要 |
【目的】bystander効果を有するスリット状の放射線照射(microbeam radiation therapy; MRT)をもちいて、線量測定とともに抗腫瘍効果について検討した。 【方法と結果】高輝度光科学研究センターにて幅20um間隔200umの白色放射光を作成、C6glioma培養細胞に対してMRTを行い、殺細胞効果を核内リン酸化部位に特異的な53BP1染色で評価した。成Ratに対して照射野に照射(peak dose:110-1100Gy)しコントロール群とした。移植群として細胞株をC6gliomaを脳内移植し、照射群と非照射群で比較した。一部では照射前後にMRIを撮影した。正常線条体ではスリットに沿った細胞死と照射野全域に広範な反応性グリア、マイクログリアが見られた。照射後一か月以上経った慢性期では、軽度の脳萎縮がみられたが、生存には影響しなかった。MRIでは、照射野に浮腫は観察されず軽度の脳血流低下が観察された。移植した腫瘍細胞塊では、血流の上昇傾向が認められた。担腫瘍ラットでは、照射後10日目の腫瘍体積の比較で、broad radiation, MRTともに腫瘍増大の抑制効果が認められた。生存率でslit peak dose1100Gy照射群で非照射群に比べて有意の生存率の上昇が認められ、一方で、broad radiationでは非照射よりも生存率が低下した。 【結論】high dose MRTの頭蓋への照射により、担脳腫瘍ラットの生存日数は伸びる。
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