研究概要 |
始めに解析の対象となるSox9,10の発現ベクターおよび発現抑制のためのshRNAベクターの構築を行った。shRNAの導入によってシュワン細胞内在性のSox10は1/5まで抑制することが可能となった。また、シュワン細胞に発現するSox9,10量を定量PCRによって測定したところ、Sox9の発現量はSox10に比べ1/10以下と極めて少量であることも分かり、シュワン細胞の分化がSoxファミリーの中で主としてSox10によって制御されていることが示唆された。Sox10の過剰発現はシュワン細胞の細胞マーカーでもあるS100Bを誘導し、逆にshRNAによるSox10抑制によってS100Bの発現が減少した。このことからシュワン細胞を特徴付けているS100B分子がSox10の制御下にあることが示唆された。さらにS100Bの転写調節領域をルシフェラーゼ・レポーターに組み込んで解析したところ、複数のSox10結合領域が同定された。初年度の結果からSox10は未分化シュワン細胞のS100B分子の制御を介し、その細胞特性を形作っていることが示唆された。
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