研究概要 |
19年度の本研究の目的は,骨折後骨再生初期の未分化間葉系細胞に発現するソニックヘッジホッグ(以下Shh)をノックアウトし,骨再生過程を観察すると共に未分化間葉系細胞の骨芽細胞,軟骨細胞への分化過程,血管形成過程を観察することである。Shhの通常のノックアウトマウスは胎生致死であるため,今までは出生後におけるShhの機能は調べることができなかった。申請者らは,Tamoxifen inducibleのCre-ER(T)-LoxPシステムを用いて時間特異的にShhをノックアウトする事を試みている。ROSA/Cre-ER(T)マウスとShh-loxPマウスを入手しそれぞれ現在飼育継代し,これらを交配してROSA/Cre-ER(T)(het):Shh-loxP(homo)マウスを作成中である(ROSA:Shhc)。 骨、骨髄損傷は,6週齢の時点で直径1.0mmのドリルホールを左大腿骨中央部全面に開けて骨、骨髄損傷モデルを作成する。まず予備実験としてWild typeでドリルホールを開けて骨、骨髄損傷を起こし骨再生過程を組織学的に検討した。次いでTamoxifen inducibleのCre-ER(T)-LoxPシステムが正常に稼働する事を確認するため,Cre-LoxPによるリコンビネーションが起こった細胞にLacZが発現するように作られたROSAILacZレポーターマウスを用いて,ROSA/Cre-ER(T)マウスと交配し,Tamoxifen投与後に骨、骨髄損傷部位にLacZが染まることを現在確認中である。その後,ROSA:ShhcとWtマウスに骨、骨髄損傷を起こし,Tamoxifen投与後の損傷部位修復過程の継時的変化と遺伝子発現の継時的変化を観察する予定である。
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