低酸素センサー酵素の活性を生体に無害な低分子化合物を用いて調節することによりhypoxia-inducible fact1(HIF-1;低酸素誘導性因子 1)を介した低酸素誘導性遺伝子応答を制御し生体の酸素ホメオスターシスを調節し、低素・虚血、また再酸素化・再潅流による臓器、細胞障害の予防法を確立するための細胞生物学的検討、実験小動物をちいた基礎実験と臨床応用への準備を行うことが本申請の目的である。 すでに提出している研究計画に基づき本年度は以下の研究成果を得た。 #1.培養細胞、細胞抽出液を用いたin vitro実験 #1-a樹立細胞株であるHep3B細胞、HEK293細胞を用いた初期実験においてn-propyl gallate(nPG)がHIF-1の強い誘導常酸素環境下でもたらすことを見いだしているが、誘導のタイムコース、また有効時間などの因子についての検討をった。 #1-b上記の検討を様々な組織由来の初代培養細胞(血管内皮、血管平滑筋、)を用いて行い、初代培養細胞においもnPGが強いHIF-1活性化作用を有する事を見いだした。このnPG活性は細胞内低酸素センサーへの直接作用によるもである事を示した。 #2.実験小動物を用いたin vivo実験さらにマウスにnPGを経口投与する事により腎臓においてエリスロポエテンのmRNA、血中のエリスロポエチン濃度の昇が起こる事を見いだした。以上の研究成果を公刊した。
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