昨年度にはラットにおける脳波測定システムの確立を行い、本年度にはその確立されたシステムを用い、侵害受容に対するモニターとなりうるかの評価を上口唇と後肢のホルマリンテストを用いて行った。当初、周波数解析によるデータの解析を目標としていたが、自発呼吸下で測定する際においては、バーストアンドサプレッションの状態を維持することが必要であった。従って、解析方法としてはタイムドメイン解析を主体に行った。 脳波をとり始めて波形が安定した頃にそれぞれホルマリンを局注し、それに伴う脳波の変化を観察したところ、第一相にあたる部分に一致して、バーストアンドサプレッション比の低下が確認された。第一相の変化が落ち着いていると思われる時期に注射部位の刺激試験を行った。すると、刺激後にバーストアンドサプレッション比の低下が認められた。この変化は上口唇でより強く観察され、顔面と四肢に痛みの経路の違いを示唆させる結果となった。この結果の要旨は、日本疼痛学会、北米神経科学会で発表し、現在投稿準備中である。
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