研究課題/領域番号 |
19659404
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部・薬理学, 助教 (90433341)
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研究分担者 |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部・薬理学, 教授 (60137255)
前田 武彦 和歌山県立医科大学, 医学部・薬理学, 准教授 (50271010)
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キーワード | アディポカイン / レプチン / 神経因性疼痛 / PPAR / 脂肪細胞 / 生活習慣病 |
研究概要 |
<研究の目的> 神経因性疼痛の病態の維持および増悪を脂肪細胞由来のアディポサイトカインが担うという仮説を動物実験により検証する。慢性疼痛と生活習慣病の関連性を明らかにするともに、新規治療標的分子を提示することを目的とする。 <実験方法> 坐骨神経部分結紮(PSL)モデルマウスを作製し、坐骨神経におけるレプチンの神経因性疼痛に及ぼす役割について行動薬理学的、生化学的および組織化学的手法を用いて解析を行った。 <研究成果> PSL1〜3日後の坐骨神経におけるウエスタンブロット解析により、レプチンの発現増加が認められた。レプチンの中和抗体を結紮後の坐骨神経周囲に投与すると、PSL誘発性触アロディニアが抑制された。さらに、レプチン欠損(ob/ob)マウスにおけるPSL誘発アロディニアは野生型マウスに比べて大きく減弱していた。レプチンに応答する細胞内シグナル伝達についてウエスタンブロット法により解析すると、PSL後7日間にわたるJak2-STAT3経路の活性化(リン酸化)が認められた。Jak2の阻害薬であるAG490を前処置すると、PSL誘発アロディニアをほぼ完全に抑制した。上記のレプチンシグナル関連分子の発現細胞を免疫組織化学的解析により解析したところ、坐骨神経周囲に存在する脂肪細胞にレプチンおよびその受容体、リン酸化STAT3が共局在していた。 <結論・意義> 脂肪細胞由来レプチンシグナルの阻害によりPSL誘発アロディニアが抑制された。これは申請者らの仮説を強く裏付けるものであり、新規性・独創性の高い研究を継続して展開できる。
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