この研究は、ヒト膀胱平滑筋細胞を用いて低酸素刺激による小胞体ストレス関連遺伝子の発現を検索することにより、虚血や低酸素による小胞体ストレスへの応答機構とこれによって引き起こされるアポトーシスが疾患の進行にどのように関与しているかを解明することを目的としている。 われわれは、ヒト膀胱平滑筋細胞より調製したprimary cell cultureを用いて酸素吸着、二酸化炭素発生パックによる慢性的な酸素欠乏モデル、ならびにミネラルオイルを用いて急性虚血モデルを作成した。細胞数あるいは増殖活性に関する影響は、^3H-チミジン法、MTT assayにて解析し、XBP1のスプライシングはRT-PCR、 sequencing法を用いて検討した。 酸素欠乏モデルを用いた実験では、低酸素状態に対する小胞体ストレス応答機構として小胞体シャペロン遺伝子の発現に重要な役割を持つXBP1遺伝子のスプライシングが検出された。具体的には、ヒト膀胱平滑筋細胞において低酸素刺激はunspliced XBP-1 mRNAより26塩基のスプライシングを生じさせた。 これと平行して糖鎖の付加阻害を生じさせるツニカマイシン処理や内腔カルシウムの枯渇を生じさせるタプシガルギン処理を行い小胞体ストレスを引き起こし反応を見たがやはり酸素欠乏刺激と同じように、小胞体シャペロン遺伝子の発現に関与するXBP1分子のスプライシング反応を検出した。
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