研究概要 |
マウス前立腺は解剖学的に腹(ventral),後側(dorsolateral),前(anterior)の形態が異なるlobe(葉)に区分されている。また、発生学的には胎生17.5日目に泌尿生殖洞の単一上皮細胞が間質細胞からの刺激に反応し、それぞれのlobeに応じた上皮細胞へ分化し、腺管構造を形成する。我々は、それぞれ特徴を持ったlobeへの分化誘導を決定付ける間質由来の遺伝子を検索・同定することを試みた。まず初めに、胎生16日、出生後0〜10日目における泌尿生殖洞、前立腺の光学的検討を行った。次いで、泌尿生殖洞の凍結切片を作製し、Laser Capture Microdissection(LCM)によりventralおよびdorsolateral側の間質細胞を採取し、RT-PCRにより、mRNAの増幅を行った。泌尿生殖洞の単一上皮細胞から発生する前立腺の腺管構造は、ventral側で出生0日、dorsolateral側は出生後4日目で泌尿生殖洞を越えた。この時点で、それぞれのlobeに特徴的な上皮細胞へと分化し始めていると考えられる。また、LCMにより採取した間質細胞からはmRNAの増幅を認めたことから、次年度にGene Chipによる網羅的な遺伝子解析を進め、それぞれのlobeに特徴的な遺伝子の発現パターンを検討していく予定である。
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