研究課題
膀胱の機能的容量は昼間に比較的少なく、夜間に増加する日内変動を示すが、この制御機構は明らかにされていない。一方、哺乳類では、ほとんどの臓器において時計遺伝子とよばれる遺伝子群が生理機能の日内リズムを形成しているが、膀胱機能に対する時計遣伝子の関与は未解明である。そこで、本研究では、時計遺伝子が、排尿日内変動リズムの形成に関与しているかを検証している。1.時計遺伝子の評価系の確立時計遺伝子の日内リズムを、in vivo、 in vitroにて評価する方法は報告されており、今回SD系ラットとその培養膀胱平滑筋細胞を用いて、それぞれ同様に試みた。In vivo:8週齢SDラットを12時間明暗周期下に1週間適応させた後、4時間ごとに24時間に渡って、各群5匹ずつ犠牲死させ、膀胱を採取した。In vitro:ラット膀胱平滑筋細胞を単離、培養し、50%血清で日内時計を同調させた後、6時間ごとに24時間に渡って、細胞を回収した。2.時計遺伝子の日内リズムの確認上記のin vivo、 in vitro両方の実験系において、主要な基本時計遺伝子のmRNAが明確な日内リズムを刻んでいることを確認した。3.膀胱機能関連遺伝子の日内リズムの確認膀胱機能に関連する遺伝子を評価したところ、いくつかの遺伝子が日内リズムを刻んでいることが確認された。今後は時計遺伝子が日内リズムを刻む膀胱機能関連遺伝子を直接または間接的に制御しているのかどうかを検討する。さらに、その制御機構が排尿日内変動リズムの形成に実際に関与しているのかを検討予定である。