本研究に関連した本年度の活動を報告する。 (1) ウシ卵子を使用したヒト精子中心体の解析:ウシ卵巣よりウシ未成熟卵子を採取し体外培養系にて成熟卵に誘導した。複数のヒト精子を時間間隔をおきウシ卵子に注入した。注入6時間後に卵子を固定して精子中心体機能の発現を観察した。(Kakoi-Yoshimoto et al. Syst Biol Reprod Med in press)結果として同一卵子内に存在するヒト精子中心体は他の精子中心体の機能発現にまったく影響を与えないことが明らかになった。受精の成立に重要な精子中心体の機能発現に関して新しい知見がえられ、平成19年10月に秋田市でおこなわれた日本生殖医学会シンポジウムで発表した。(シンポジウムテーマ胚発生における精子の関与: 発表演題名 寺田幸弘 精子中心体の機能発現調節) (2) ヒトおよびサル精子形成過程における、微小管の形成および微小管関連タンパクの発現を解析し、精子成熟(spremiation: 円形精子細胞から成熟精子になるまでの過程)に微小管を中心とした細胞骨格形成が重要であることを明らかにした(Hayasaka S et al. Asian J Andorol. In press) (3) 割球除去に関しては専任の担当をおき、マウス胚をもちいた割球除去の基礎的トレーニングを行っている。 (4) 現在、割球除去後のヒト卵子の分割過程を連続観察すべく、タイムラプス顕微鏡の設置とマウス受精卵をもちいた観察をおこなっている。
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