研究概要 |
卵巣癌の腫瘍マーカーであるCA125の蛋白部分MUC16のアミノ酸配列の中にCD4陽性T細胞が認識するエピトープが存在することを実験的に確認した。次に,卵巣癌患者の末梢静脈血液(T細胞, B細胞,抗原提示細胞等を単核球分画として含む)が, CA125の合成ペプチドであるOVCA11によりIL-4を産生するかどうかを抗原ペプチドとの短期間の培養後にフローサイトメトリーにて解析したところ,33検体中28検体でOVCA11ペプチドに陽性反応を示した。また,活性化されたCD4陽性IL-4陽性T細胞の頻度は平均で4%であった。したがって,癌患者であっても癌抗原特異的なT細胞を保持していることが示された。 さらに, IL-2とともに培養することで,試験管内でCD8陽性TNFα陽性T細胞の頻度も増加することが予備実験で観察された。これらの結果から,卵巣癌の腫瘍マーカーであるCA125のアミノ酸配列のアナログペプチドを用いて,癌の治療に応用できる可能性があることが示された。
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