研究課題
本年度は、哺乳類胚発生のメカニズムならびに胚の個体発生能を含めた質的ポテンシャルを、非侵襲的に解明し評価することを目的として、マウス胚発生過程において培養液中に分泌されるタンパク質のプロファイル(secretome)を明らかにし、以てそのデータベース構築を目指した。そのための条件設定を主に本年度は行った、まず、先駆的にマウス胚培養液中のsecretomeを報告した論文(Katz-Jaffe MG, et. al.,Fertil Steri,2006)に従い、培養液を10μlにして胚培養を行ったが、反復して実験を行うも胚盤胞までの到達率は極めて低率であった。従って、最終的に産仔率をエンドポイントにして胚のquality評価を行うことを目標とする本プロジェクトにとっては、先例に準じたシステムは不十分であることが判明した。そこで、培養液量も含め、胚培養の条件を変えて、種々の検討を行ったところ、10個の受精卵を胚盤胞まで発育させるためには50μlの培養液量が必要であることがわかった。それでも十分な胚盤胞発生率ではないため、さらに培養液の増量を検討している。一方、プロテインチップにアプライ可能な量という制限もあるため、その点からの検討を行ったところ、蛋白濃縮などの作業工程を経ることにより200μlまではアプライすることが可能であった。培養液量をさらに増量することにより、良好の胚盤胞発生率が得られ、且つプロテインチップ解析に供することが可能な至適条件の検討を更に進めている。以上、本年度は、次年度へ実験を進めるうえでの基盤データが得られた。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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