研究課題/領域番号 |
19659442
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
富田 浩史 東北大学, 先進医工学研究機構, 准教授 (40302088)
|
研究分担者 |
玉井 信 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (90004720)
菅野 江里子 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (70375210)
|
キーワード | チャネルロドプシン-2 / 網膜変性 / 神経節細胞 / ウサギ |
研究概要 |
現在世界各国で研究されている人工網膜は、視細胞(光受容)の機能を機器によって代用し、残存する網膜神経細胞を電気的に刺激することによって、擬似的な光覚を生み出そうというものである。この方式から視細胞変性後、網膜神経節細胞が生存しているどうか、人工網膜によって作り出される視機能に重要な役割を担っている。遺伝的に視細胞変性を来たすラットでは、視細胆変性後、徐々に神経節細胞数が減少していくことが知られている。しかしながら、視細胞変性後、光受容能を失った網膜では、invivoで神経節細胞の機能を評価することは不可能である。チャネルロドプシン-2遺伝子を神経節細胞に発現させることで、神経節細胞に光感受性を与えることが可能となり、神経節細胞の機能を評価することができると考えられた。本年度は遺伝的に視細胞変性を来たすRCSラットを用い研究を行った。RCSラットは生後3ケ月で視細胞が消失することが知られている。そこで我々は生後6ヶ月齢RCSラットおよび生後10日月齢のRCSラットの神経節細胞にチャネルロドプシン-2遺伝子を導入し、神経節細胞の機能評価を行った。遺伝子導入後、2ヶ月で視覚誘発電位は最大値に達し、約1年の観察の間、維持された。神経節細胞数は、生後6ヶ月齢と10ヶ月齢では、生後6ヶ月でチャネルロドプシン-2を導入したラットでは約1600個/mmであったのに対し10ヶ月齢のラットではその約75%であった。得られる視覚誘発電位の振幅は6ヵ月齢の約の75%であり、導入された細胞数を繁栄していた。遺伝子の導入効率はいずれも約30%であった。以上の結果から、生後6ヶ月と10ヶ月で神経節細胞の機能の低下はほとんどなく、視覚誘発電位測定で観察された振幅の低下は、遺伝子が導入された細胞数に依存すると考えられた。
|