研究課題/領域番号 |
19659446
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 雄二 東京工業大学, イノベーション研究推進体, イノベーション研究推進教員 (40422547)
|
研究分担者 |
村原 正隆 東京工業大学, イノベーション推進研究体, 特任教授 (40166301)
|
キーワード | エレクトロウェッティング / 眼内レンズ / ArFエキシマレーザー / 光化学的表面改質 |
研究概要 |
エレクトロウェッティングを用いて水と眼内レンズとの密着性を高め、この状態でArFエキシマレーザーの縮小投影露光にて、IOL表面に親水-疎水ミクロドメイン構造を形成させた。これによって、タンパク質や脂肪の付着を抑制する眼内レンズを開発した。一般的にプラスチックの表面改質法には、化学薬品処理、プラズマ処理等が用いられている。しかしこれらの改質法は、物理的に試料表面を粗面化しているため、材料表面が劣化するだけでなく、タンパク質や脂肪が沈着する。他方、水-試料間に高電圧を印加し、一時的に水との接触角を小さくするエレクトロウェッティング法がある。この手法は、電圧印加している状態では水との接触角を小さくすることは出来るが、電圧印加をやめると、再び接触角は元に戻ってしまう。そこで我々は、エレクトロウェッティング法の一時的に水と試料の密着性が高くなった状態を利用して、この状態でArFエキシマレーザーを照射することで、IOL表面に長期間安定な親水性を発現させた。IOLと合成石英の間隙に反応溶液としてH_2Oを注ぎ、この状態で合成石英とIOL間に高電圧を印加し、エキシマレーザーを縮小投影露光する。 改質した試料の水との接触角を測定した結果、110°であるシリコーン製IOLの接触角を60°に改質するためには、レーザーのエネルギー密度27[mJ/cm^2]で、30000shot以上が必要であった。しかし、高電圧印加と光照射を併用して光表面改質を行った結果、1/10の3000shotで接触角を50°に改質することが出来た。改質した試料をフィブリン水溶液に浸漬させ、生体適合性のタンパク質指標であるフィブリン吸着テストを行った。その結果、20μm間隔に親水基を配列させたミクロドメイン構造では、シリコンーン製IOLでは1/5、PMMA製では1/20の付着量と、フィブリン付着が抑制している事を明らかにした。
|