研究概要 |
細胞における鉄イオン代謝の恒常性維持機構のひとつとして,遊離鉄イオン濃度変化による転写後調節機構が知られている。鉄イオンの濃度変化に対する細胞応答には,Iron-regulatory protein(IRP)-1/2およびmRNA上におけるIron-responsive element(IRE)の存在が必須である。本研究は現在まで報告例のない網膜での光応答におけるIRP-IRE間における転写後調節機構の役割について解明するために,新規のIRE含有mRNAが網膜において発現しているか,また,光照射により発現誘導が起こるかを調べることが主要目的である。この研究では,IRP-1/2アフィニティーカラムの作製を作製するために,IRP-1/2の遺伝子クローニングおよび大量精製について検討してきた。しかしながら,今までのところ,IRP-1/2cDNAのクローニングに関して,cDNAの大きさがそれぞれ3000bpを超え,比較的大きいためか,クローンが得られておらず,現在検討中である。これと平行して,新規IRE含有mRNAを取るためのサンプル調製のために,ラットへの光照射における網膜のタンパク質発現応答などの研究を進めるなどして,準備を行っている。また,今回の研究に必要な機材(高出力の超音波発生機ホモジナイザー(トミー精工、UD-201)),試薬,細胞などに関しても購入するなど,準備を行ってきた。IRP遺伝子クローニングの実験系に改良を加え,さらに研究を進めていく予定である。
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