研究課題
本年度は、超音波治療の対象疾患を広げる目的で、様々な実験を行った。眼瞼癌治療の可能性を探るために、マウスに移植した悪性黒色腫細胞に対して、ブレオマイシン+ナノリポゾーム+超音波照射を行った。その結果、有意に腫瘍増殖を抑制した(Sonoda et al. Cancer Biol Ther 2007)。また、眼周囲組織への遺伝子導入による治療可能性を調べるために、ナノリポゾーム+超音波照射を用いた遺伝子導入についてラットで調べたところ、遺伝子導入効率が著しく向上した。組織障害性は極めて少なかったため、実用化の可能性が高い(Yamashita et al. Exp Eye Res 2007)。一方、超音波照射により、組織プラスミノーゲンアクチベーターを活性化して、フィブリン分解させる作用についても研究した。これは、眼科領域で問題になっている糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症を対象とした基礎実験である。ラットをもちいて、前房に出血させることによるフィブリン形成を行い、超音波を短時間照射した。その結果、超音波は照射部位にのみ著しい線溶活性上昇をもたらすことが分かった。また、生体への有害作用について、組織学的検索、網膜電図、角膜内皮検査を行ったが、いずれも問題を生じることはなかった。この結果は、厚生労働省班会議で報告した。現在、特許などについて調査中である。超音波とナノリポゾームを用いた治療法開発研究について、確実に成果の出た年であり、次年度はさらにこの研究を発展させたい。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件)
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