研究課題/領域番号 |
19659461
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
関堂 充 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (40372255)
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研究分担者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
佐々木 了 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40301907)
古川 洋志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00399924)
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キーワード | drug delivery system / カーボンナノホーン / 創傷 / MRSA感染 / バンコマイシン |
研究概要 |
有望なdrug delivery system(DDS)キャリアであるカーボンナノホーンを用い、癌の治療と比べまだ研究が進んでいない創傷に対するDDSの基礎研究を行った。創傷治癒に関与する薬剤としては創傷治癒促進因子、血管新生因子、抗炎症物質、抗生剤などが考えられるが、いずれも全身性の作用が生じるものである。DDSにより安全かつ積極的に創傷の治療を行えるようになる可能性がある。 まず手始めに、DDSに使用する薬剤として濃度計測が可能で安定した化合物である塩酸バンコマイシン(VCM)を選択した。25mgの単層カーボンナノホーン(SWNH)を10mlの水に分散した後18mgのVCMを加えて撹拌しSWNH-VCM-水分散液をつくり、室温窒素雰囲気中で水を蒸発、乾燥させ、VCM内包SWNHを作製した。得られたVCM/SWNHの熱重量分析などから、VCM/SWNHにはVCMが約40%含まれていることがわかった。VCM/SWNHの透過電子顕微鏡観察を行ったところ、SWNHの鞘の中にVCMが内包されている像が確認された。さらに、X線エネルギー分散スペクトル測定装置を搭載した操作型透過電子顕微鏡を用いて、VCMがもっている窒素元素の分布を測定したところ、多くのVCMがSWNHに内包されていることが示唆された。 次にVCM/SWNH8mgを5mlのリン酸緩衝液中に分散し、VCMの放出を分光光度計により測定した。VCM/SWNH分散初期に一期的なVCMの急激な放出を認めた後、分散後200時間にわたりほぼ一定の速度(約1ng/hr)でVCMを徐放していることが確認された。今後、細菌を用いたin vitro実験を行い、その結果に応じて創傷へのMRSA感染モデルなどを用いたin vivo実験をすすめていく予定である。
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