研究概要 |
Dnmtl-associated protein1(Dmap1)はポリコーム蛋白Bmi1と会合し,Bmil依存性の遺伝子発現抑制に関与する分子である。一方,Dmap1はNuA4histone acetyltransferase(HAT)複合体の構成分子であることが報告されており,その機能は明らかになっていない。今回われわれはDmap1が細胞老化に関わることを明らかにした。Dmap1をレンチウイルスshRNAを用いてマウス胎仔線維芽細胞でノックダウンすると,細胞増殖が停止し,扁平で大きな細胞形態を示した。細胞老化に特徴的なsenescence-associatedβ-galactosidase(SAβ-gal)活性が陽性を示し,細胞老化が促進されているものと考えられた。細胞老化は様々な細胞老化誘導刺激によって活性化されるが,その下流で主として機能する経路がpl6^<Ink4a>→RbおよびArf→p53→p21→Rbの経路がある。Dmap1がどの経路に関与するかを検討するために,p53-/-,Ink4a-Arf-/-,Rb-/-のマウス胎仔線維芽細胞を用い,Dmap1ノックダウンの効果がどの遺伝子欠損線維芽細胞で解除されるか観察した。その結果p53-/-マウス胎仔線維芽細胞でのみ細胞増殖活性が回復することが確認され,Dmap1ノックダウンによりp53依存性のチェックポイント機能が活性化し細胞増殖が停止するものと考えられた。今後はどのような機構でp53チェックポイントが活性化するのかを明らかにしていきたい。
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