研究概要 |
体細胞初期化因子を探るため、我々は初期化因子の遺伝子発現に注目し、卵巣由来発現遺伝子の解析を本研究の目的とした。昨年度、マウスをhCG(ゴナドトロピン)により刺激し、過排卵刺激により特異的に発現する遺伝子のスクリーニングをサブトラクティブ・ハイブリダイゼーションPCR法により行い、26の遺伝子群を単離することに成功した。それら遺伝子群をシーケンス解析し、ESTクローンによるホモロジー解析から、初期化因子に深く関わると考えられた遺伝子6つに注目し、それら遺伝子の全長クローニングを行った。クローニングした遺伝子を哺乳類発現ベクターにサブクローニングし、マウス繊維芽細胞株であるBalb3T3に遺伝子導入し、薬剤セレクションにより安定に発現した細胞株を得ることができた。 6つの遺伝子のうち、4つの遺伝子については、強制発現細胞株において、ES細胞などの未分化細胞で発現が認められる各種遺伝子(Oct-3,Nanog,Rex-1,Sox2など)の発現は認められなかった。残りの遺伝子の1つであるAtg16L1は遺伝子導入後から細胞の形態変化を認め、ES細胞などで発現の高いアルカリフォスファターゼ活性がMockに比べ高いという結果が得られた。さらに未分化関連因子の発現について解析を進め、また、6つの遺伝子を組み合わせた強制発現についても今後検討する。
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