研究概要 |
1.DNA結合蛋白の細胞外生理活性の同定 1)エンドトキシン刺激ではマクロファージ系細胞に核蛋白が増加した。そしてこの蛋白は細胞増殖活性、NF-κB活性化作用があり、alarminの存在が示唆された。 2)この活性化は、HMGB1中和抗体では完全にブロックしえなかった。 3)そこでエンドトキシン刺激で核内に増える蛋白質にHMGB1以外に第2のエンドトキシン刺激、壊死細胞で増減する蛋白に的を絞ったところ、Nucleophosminが候補として挙げられた。 2.HMGB1の細胞生理活性:細胞増殖、炎症性サイトカイン放出などに対するHMGB1 cofactorの証明 1)HMGB1のalarmin活性は、細菌DNA;CpG DNAで増幅され,HMGB1のcofactorであることが示唆された。しかしこの際、HMGB1とCpG DNAが複合体を形成するのか、別箇の受容体を介してシグナルを増幅するのか、については結論を得られなかった。 2)HMGB1とCpG DNAで培養ヒト血管内皮細胞を刺激すると、血液凝固系蛋白と細胞接着因子の発現が増強された。 3)トロンビンもHMGB1との共刺激で、応答を著しく増幅した。このことより、CpG DNA,IL-1と並んで、トロンビンもHMGB1のcofactorであることが判明した。 3.研究結果のまとめ;以上の結果から、 1)エンドトキシンで刺激されるとHYMGB1以外にもalarminが細胞外に遊離してくる、 2)Alarmin;HMGB1にはcofactorが存在し、トロンビンもcofactorの一つであることが判明した。 これらのことより、侵襲に際し、壊死細胞からは、HMGB1をはじめとするalarminが放出され、これは侵入細菌のCpG DNAあるいはIL-1、トロンビンにより反応性が増幅されて、自然免疫、止血、創傷治癒のアジュバントとしての活性を有するものと考えられる。
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