研究概要 |
アセトアミノフェン中毒に対する毒性評価、予後判定および解毒薬投与の指標として、現在ノモグラムを用いた摂取後4時間以降のアセトアミノフェン血中濃度が繁用されている。しかし、本邦においては、摂取推定量が少なく、ノモグラム上血中濃度が治療ラインを下回ったにもかかわらず、劇症化する症例も少なからず報告されている。そこで、アセトアミノフェンの肝毒性の本体である中間代謝物のN-acetyl-p-benzoquinone imine(NAPQI)が肝細胞蛋白のSH基と結合した結果、血清中に逸脱するアセトアミノフェン-蛋白結合体(3-Cys-A)を肝毒性の新規バイオマーカーとして分離測定する方法の確立を検討する。 本年度は、分析方法の検討をする目的で検量線を作成するための標準物質として3-Cys-Aの合成を行うとともに、Muldrew, et. al.(2002)による電気化学検出器を用いたHPLC法の検証をおこなった。また、患者血清検体の前処理法として、血清蛋白の透析条件、プロテアーゼによる分解条件を検討した。さらに、関連大学病院救命救急センターに搬入されたアセトアミノフェン中毒患者のの血中濃度と肝機能、予後データを収集した。
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