本年度は、昨年度に引き続いて大理石病モデルマウスを用いた研究をおこなった。 成長期の大理石病マウスに、隔週で7回テトラサイクリンおよびアリザリンレッドを投与し、長期間の成長過程を蛍光顕微鏡観察によって観察した。その結果、(1)長軸方向への成長は生後7週目から著明に速度が低下する事(2)骨幹部の中央外側部に皮質骨形成が限局して起きている事(3)骨幹部中央に、わずかながら破骨細胞が出現し、骨吸収が起きている事(4)大理石病に特有のダンベル構造をとりながら成長が進む事などが判明した。 また、昨年作製した骨成長モデルシミュレーションについて、東京理科大学の菊池教授とディスカッションし、骨にひねりストレスを加えた場合と、2方向以上から曲げストレスを与えた場合に、上記のような骨幹中央部に骨形成と骨吸収が起きる事が分かった。特に、多方向から曲げストレスを与える事によって、実際の骨に特有の、骨外表面の凹凸構造が形成される事がわかった。 さらに、大理石病の症状を再現するためには、破骨細胞活性の低下だけではなく、局所応力への反応が低下する事が示唆された。この事実を証明するためには、さらに高解像度でのシミュレーションが必要であり、既に作製した3次元シミュレーションよりも2次元シミュレーションが適している事が判明した。現在、並列計算用大規模2次元骨リモデリングシミュレーションを作製中である。 これらの研究成果は、21年度中に論文投稿するための準備を進めている。
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