本年度は、運動ストレス、精神的ストレス、過剰ストレス、咬合異常等のストレスをラットに加え、ラットにストレス性変化を生じさせた。そのストレスの指標としてACTH・コルチコステロンを測定しストレスモデルを確立した。唾液腺は自律神経支配の強い臓器でありストレスに鋭敏であることから、このストレスモデルを用いて唾液腺での様々な蛋白の変動を解析した。解析方法は唾液腺を摘出後、総蛋白を抽出し2次限電気泳動を行いストレス付加前後でのスポットの変動を解析し、現在までに7つの蛋白質の変動が観察されている。その7つの変動の大きい蛋白に関して、プロテオーム解析を行っている。この結果と、唾液そのものを用いて、ストレス前後で変動する蛋白との間に相関があるものを決定するために研究を進めているところである。また、唾液のプロテオーム解析はまだ十分確立されておらず、その解析条件の検討も行っている。特に唾液には高分子蛋白が含まれており、そのために多くの重要な蛋白が検出されていない可能性が高い。そこで、既知のアルブミンやグロブリンなどの蛋白をあらかじめ除去し行うなどの基礎的検討を行っており、現在再現性や関連蛋白の検出に問題がないかなどの点について詳細に検討している。今後、これらの基礎的検討を踏まえて、ヒトでの検討とその検出系の開発に向けて鋭意努力していく所存である。
|