研究概要 |
1.口腔内顆粒球の採取方法の検討 採取時間(朝・昼・夜)・唾液分泌刺激剤(食塩・砂糖・蒸留水)・食事前後・ブラッシング前後・プラーク堆積量をパラメーターにして最も効率の良い口腔内顆粒球の採取方法を検討した.被験者は口腔内に歯科的疾患のないボランティア4名で行った. 結果:最も採取効率の高い方法は,昼食後ブラッシングを行い1時間経過後,生理食塩水120mlを用いてうがいを行い採取する方法であった. 2.花粉症患者の好中球の活性酸素産生能の評価 花粉症患者6人(自己申告)の口腔内好中球(OPMN)および血液内好中球(BPMN)を採取し、スギ花粉抗原SBPおよび代表的な刺激剤であるPMAを添加した時に産生される活性酸素種(ESRスペクトル)を測定した。SBPで活性酸素産生が増加するかどうか、口腔内好中球と血液内好中球で違いがあるか調べた。 結果:6人とも無刺激とSBP添加では違いはなく,SBP添加により好中球が刺激されて活性酸素産生が増加するということはないという結果であった。PMAで刺激したときもOPMNの方がBPMNより活性酸素産生が大きい傾向があったが、個人差があることがわかった。 考察:今回用いた口腔内顆粒球は1×10^6cells/mLに調製したが,これが発生する活性酸素種の量は非常に小さく,ESRスペクトルによって無刺激との差を観察するには限界があった.今後は1×10^4cells/mL程度でも判定可能なフォトンカウンティング法を利用した試作診断装置を用いて精査する予定である.
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