研究課題/領域番号 |
19659500
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 誠 東北大学, 大学院・歯学研究科, 客員教授 (80091768)
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研究分担者 |
大井 孝 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (10396450)
小牧 健一朗 東北大学, 病院, 助教 (40361109)
土谷 昌広 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60372322)
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キーワード | 歯の喪失 / 小胞体ストレス / アポトーシス / 脳機能 |
研究概要 |
口腔状態と高齢者の心身機能との関連を示した疫学的研究により、健康寿命の延伸や介護予防における歯科医療の役割が重要視されている。歯の喪失と認知機能に関する研究においても、歯の喪失が高齢者の脳灰白質容積減少のリスクファクターとなることが示されている。申請者らの研究において、抜歯マウスの海馬におけるDNAマイクロアレイ解析から、歯の喪失に伴い発現変化を起こす遺伝子群を明らかにするとともに、歯の喪失がこれまで注目されてきた学習記憶障害以外にも、脳の様々な機能や疾患に関連する可能性を示唆した。それに加え、咀嚼運動中の筋への負荷がマイオカイン(IL1βやIL6など)産生を促し、循環系を介して全身的な作用をもたらすことを明らかとした。マイオカインは筋細胞内のグリコーゲン量低下が刺激となって産生され、脳や肝臓などに直接働いて全身的な代謝と密接な関係があることから、運動と全身的な反応を結びつける重要な因子と考えられている。本年度の研究結果は、咀嚼においても一般的な運動と同様に全身的な糖代謝機能の賦活化を起こすことを明らかとした。咀嚼運動には免疫系や神経系など,全身的に影響することが報告されているが,そのメカニズムについては未だ不明な点が多い。本研究の結果は咀嚼運動が咬筋において産生されるマイオカインを介して、免疫系に影響をもたらすことに加えて、脳を含めた神経系の賦活化に必須である糖代謝機能に影響を成す可能性を示している。このことは、咀嚼運動はエネルギー消費を伴う運動となり得、日常的な食生活の質が健康に影響する可能性をも示している。
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